AWS再入門2018 そもそもAWSって何?編
こんにちは。池田です。AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル認定試験の勉強を兼ねて今年の元旦から書き始めたこのシリーズも気がつけば28本を公開していました。時々、セミナーイベントでお会いした方や友人から「再入門シリーズ読んでるよ」と言ってもらえることがあり、大変嬉しく思っています。そんな中「AWSのこと全くわからないので、もっと初歩からの超入門編みたいなものも書いてもらえませんか?」というリクエストをいただきました。そこで、今回は太郎くんが「クラウドのことが良くわかっていないが興味があるので説明して欲しい」とお客様に依頼されたときに作成した資料を借りてご紹介したいと思います。
そもそもクラウドとは
従来、情報システムとしてコンピューターリソース等を利用する際は、ハードウェアを購入して社内施設やデータセンタといった場所に設置して利用する、オンプレミス(オンプレ)という形態での運用をするのが一般的でした。それに対して、インターネットを経由して接続された各種コンピューターリソースをサービスとして利用することをクラウドコンピューティング(クラウド)と呼ぶようになってきました。
オンプレとクラウドの違い
代表的な両者の違いとしては以下が挙げられます。
- サーバやネットワーク機器等のハードウェア
- オンプレ: 利用者が購入する必要がある
- クラウド: 利用者が購入する必要がない
- 初期投資
- オンプレ: 様々な機器を購入するため、一般的に高額になりやすい
- クラウド: 機器を購入する必要がないため、初期投資を抑えることができる
- 必要なリソースの変化への対応
- オンプレ: リソースが不足した時の追加は可能でも、余剰となったリソースは無駄になる
- クラウド: 一般的にリソースの変化に柔軟に対応可能
- ランニングコスト
- オンプレ: 各種設備の保守費用や設置場所の利用費
- クラウド: 大部分が利用した分に応じた従量制課金
クラウドを利用するメリット
クラウドを利用する主だったメリットとしては以下が挙げられます。
- 機器の購入が発生しないため、それらに対するセットアップや設置といった初期作業を行う必要がない
- 機器の運用管理、保守に人的リソースを投入する必要がない
- 利用者がハードウェアを設置する場所を確保する必要がない
- 場所の確保の他、電源や空調、防災といったものの手配や管理を行う必要がない
- 通常はインターネットに接続できるコンピューターがあればすぐにでも利用が開始できる
- 利用契約が済んでいれば、必要になった時に必要な分のコンピューターリソースを利用することができる
- 不要になったリソースは停止することでそれに対する課金も停止する
AWSの概要
オンプレミスからクラウドへ移行することで、いくつものメリットを得られることをお分りいただけたかと思います。次に、AWSの概要や仕組みについて簡単に整理してみます。
グローバルなインフラストラクチャ
AWSは世界各地にリージョンを設け、各リージョンには複数のアベイラビリティーゾーン(AZ)を配置しています。各AZは1つ以上の独立したデータセンタで構成されています。これは以下のことを意味しています。
- 複数のAZやリージョンを利用することで、特定地域における大規模災害時にもサービスを継続することができる
- または、メインシステムのバックアップを保管しておくことで、被災時の復旧に利用することができる
- 同様の環境、設備を自前で用意するには膨大なコストが発生する
- サービスを展開したい国や地域に最も近いリージョンを利用することで、その地域にいるエンドユーザーに対するデータ転送時間を少なくすることができる(ネットワークレイテンシの低い場所からサービスの提供ができる)
- サーバーやアプリケーションからの応答時間が遅いことによるユーザーの離脱など、ビジネス機会の損失を回避できる
- さらにエッジロケーションというものが各地にあり、CloudFront(コンテンツ配信サービス)やRoute 53(DNSサービス)といったサービスがここから提供されることで、エンドユーザーにより近い場所からの応答が可能になっている
- 複数のAZにまたがってデータを保管することで、災害や障害による重要なデータの損失を回避できる
- 企業のポリシーや法規によっては国外へ持ち出せないデータであっても、物理的に離れた場所に保存することで災害等からデータを保護できる
豊富なサービス
コンピューティング、ストレージ、ネットワーキング、データベースといった一般的な情報システムリソースだけでなく、データ分析やIoT、AIなど実に90を超える様々なサービスを提供しています。また、顧客のニーズを大切にし、次々に新しいサービスを追加しています。
*https://aws.amazon.com/jp/about-aws/より
柔軟なリソースと従量制課金
例えば、自社サービスがテレビなどで紹介された場合などは通常時と比較して数倍から数十倍以上のアクセスが発生することがあります。これがオンプレミス環境だと稼働システムの処理能力を超過した場合にエラーが発生し、せっかくの機会を失ってしまう可能性があります。また、仮に事前にテレビ放映されることがわかったとしてもアクセスがどれくらい増え、どれくらいのリソースを追加する必要があるのかを見積もり、機材を追加するのは非常に難しいことです。AWSではこういった際にも柔軟に対応が可能となる仕組みが提供されています。
また、ほとんどのリソースが使用した分に対して料金を支払う従量制課金モデルで提供されているため、高負荷状態から平常状態に戻った時点で追加したリソースを停止または削除することによって不要なコストの発生を抑えることができます。
まとめ
今回は「そもそもクラウドって何?」「そしてAWSは何ができるの?」という質問に対し、できるかぎりシンプルに「専門用語」を羅列しないよう、また一気に詰め込みすぎないよう意識してみました。これからクラウドサービス、AWSの利用を検討してみようという方々のお役に立てれば幸いです。既にAWSを利用している方々やエンジニアの皆様には物足りない内容だったかとは思いますが「みんな最初は初心者だった」というところでご容赦いただければと思います。